大分県豊後大野市における木材市場の現況(令和2年 2020)

大分県豊後大野市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大分県は森林面積の多い地域で、九州の林産業の中心地域として木材市場も栄えてきました。大分県豊後大野市は、県の南部に位置する市で、豊かな自然に囲まれた地域です。豊後大野市は森林地域が占めていることで、昔から林産業で栄えてきました。戦後復興や高度経済成長期になると、一気に木材需要が増加しました。それに伴って市内の林業従事者も増加して、木材加工場やそれらを運ぶ林道も整備されました。その後も1990年代のバブル崩壊まで木造一戸建ての需要が増え続けましたが、海外から安価で良質の木材が入って来て、次第に価格競争が起きて建築用材の価格が下落して行きました。さらに林産業の従事者も高齢化して、産業競争力が無くなったため後継者が集まらずに衰退しました。林業従事者がいなくなる事で、山林の管理も滞って荒れ果てました。危機感を持った大分県では県内の面積の7割の森林を活かすために、林業の技術継承に力を入れて、伐採などの森林管理を学べる学校を作ったりました。また木材加工場などの林産業を新しく始める人に、補助金事業を行ってきました。そして林業衰退の潮が、2000年以降に変わりました。2000年代になると、海外新興国の発展に伴い建設やバイオマス発電用の木材需要が増加した。それに加えてこれまで乱伐を繰り返して安価な木材を輸出してきた国でも、環境と資源保全のために規制を行うようになりました。そのため世界的に木材の需要に供給が追い付かなくなって、価格が高騰し始めました。そして大分県の行ってきた森林保護政策と、高度経済成長期までに作られた林道の交通アクセスの良さから、海外でも大分県の良質の木材が注目され海外輸出が増加し始めました。輸出が増えた時には、比較的安価なチップ用の丸太材が中心でしたが、木材加工場も整備されて製材技術も向上して高価な建築用材の輸出が増え続けました。大分県豊後大野市における木材産業の現況は、植林されたスギやヒノキを中心に輸出量が増加して嘗ての活況を取り戻しつつあります。

 

 
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