大分県臼杵市における木材市場の現況(令和2年 2020)

大分県臼杵市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大分県臼杵市は県内でも東南部に位置しており、北東側は豊後水道に面する海沿いの自治体です。しかし市の南西部は山がちとなっているため、28000ヘクタールほどの市域面積に対して、林野は16000ヘクタール以上を占めていて、森林率では59パーセントほどになります。臼杵市といえば国宝の臼杵石仏に代表される、古代からの神仏習合の特異な文化、あるいは江戸時代の武家屋敷が残る城下町の風景が知られており、どちらかといえば観光都市として分類される側面のほうが大きいといえます。そのなかにあっての林業の位置づけですが、大分県内の他の自治体と比較すると、臼杵市ではそれほど生産活動がさかんとまではいえないのが現況のところです。これは臼杵市の人工林率が40パーセント台と他の自治体よりも低い割合にとどまっており、その内訳をみてもカシやクヌギといった広葉樹林、あるいは竹林などが比較的多く、スギやヒノキなどの木材市場でのメインとなっている樹種とはマッチしていない点が主要な理由に挙げられます。加えて木材市場での取引価格の低迷は慢性的な状況で、これはより低価格な移入木材や国外からの輸入木材に押されていることに起因しています。ただし素材生産そのものは、需要とのかねあいから臼杵市においても圧倒的にスギをはじめとした針葉樹が中心です。近年ではこのような事情を踏まえて、臼杵市においても地元産の木材を積極的にバックアップするための取り組みの一環で、公共施設の建築に際しての地元木材の導入が進みつつあります。また木質系バイオマス発電による燃料としての活用、あるいは土づくりセンターでの堆肥の原料としての活用などの、新しい分野における取り組みもみられます。これらは現時点では木材市場の動向そのものとはかならずしも連動したものではありませんが、需要量が増加しその目的も多様化できれば、木材の生産活動がいっそう進む方向にシフトすることは期待できます。

 

 
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