大分県日田市における木材市場の現況(令和2年 2020)

大分県日田市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

日田市は大分県の北西部に位置する市で、周囲を山に囲まれた盆地となっているため夏と冬で朝晩の気温差が激しく、霧が出やすい立地です。江戸時代初期から幕府の直轄地として栄えた歴史があり、現在でも古い街並みが残り伝統のお祭りや文化なども根強く残っています。日田市の総面積はおよそ666平方キロメートルで、森林面積はおよそ550平方キロメートルと市の82パーセントを占めており、そのほぼ全てが民有林で樹種別でみると約70パーセントがスギで残りはヒノキとなっています。日田市は林業に適した気候と土壌で、筑後川の豊富な水量もあり木材産業で発展してきました。初めてスギが植えられたのは1491年ころで、1680年代には水運を活用した筏運送によるスギの取り引きで日本の三大林業地として歴史を刻みました。そんな日田市のスギは古くから「日田杉」という名前で親しまれており、その特徴は表面が堅くて赤身の部分が多く、害虫や湿気による被害を受けにくいため建材として用いられることが多いことです。日田市の木材市場はこの日田杉とヒノキが中心となっており、年間約16万立方メートルもの木材を取り扱っているなど活発に活動しており、九州はもちろんのこと、日本全国に向けて取引されています。市況でみると日田杉は直径14センチから22センチ前後で長さ4メートル前後の丸太と、直径20センチで長さ6メートル前後の丸太の需要が多く、ヒノキでは直径20センチで長さ3メートル前後の丸太が主力となっているのが現況です。木材市場では木材の販売だけにとどまらず、その原木素材を育む山林の保全や管理にも専門的ノウハウを駆使して取り組んでおり、山林調査や境界管理を始めとして、根ざらいや間伐などの手入れや育林事業、造林事業まで行っています。平成27年には、森林・林業・木材産業の基本的な方向性を示す指針とした「日田もりビジョン」を策定するなど、更なる発展に努めています。

 

 
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