大分県中津市における木材市場の現況(令和2年 2020)

大分県中津市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大分県の中部に位置する中津村は周囲を標高1,500m級の山々に囲まれている地域で、古くから林業が盛んなところです。市内には計2つの製材所があり、市立木材市場センターでは年間約420万トンもの木材を取り扱っている九州随一の市場を有しているほどです。中津市の2020年上半期の木材市場の現況は、2019年同時期よりもマイナス21%の110万トンとなっています。この数字は、1985年に林野庁による都道府県別木材市場調査がなされるようになった中でもっとも少ない数量であり、2020年度は収益も初めて赤字になる見通しです。中津市の木材市場は海外貿易に基盤を置いており、この貿易量が2020年上半期は大きく減少したことが影響しています。貿易量の減少は2020年2月下旬から中国から世界へと蔓延していった新型コロナウイルスの影響であり、中津市の主要取引国であるアメリカ・フランス・ドイツ・デンマークなど計6か国は相次いで経済活動の停止をおこないました。貿易港も封鎖されたことで、中津市の木材市場の取り引きも中断して取引率が伸びなくなっています。なお、7月以降は各国ともに経済活動を再開する見通しなので、下半期には大きく取り引き高を伸ばしていくと予測でます。中津市の木材市場で取り扱っている木材はクリ・スギ・ヒノキ・カシの4品種で、太平洋から暖かく湿った空気が流れ込むj温暖な地域で生育した木々は非常に耐久性に優れているのが特徴です。ヒノキに至っては価値を高める木目の美しさも際立っており、1kgあたり約180円という全国平均価格の80円よりも大きく上回っているほどです。2020年以降の中津市の木材市場の動向は、主要各国との貿易再開がなされることで取り引き高と収益を回復させられます。2020年度は赤字収益になることが市場センターの定例報告書で明記されていますが、2021年以降の取り引きが安定すれば再び黒字収益を維持できることでしょう。

 

 
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