佐賀県太良町における木材市場の現況(令和2年 2020)

佐賀県太良町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

佐賀県の東部に位置する太良町は肥前山地の麓に町が広がっていることから、明治時代より林業が盛んな地域です。町内には計4つの製材所があり、ここで加工された木材が市場へと運ばれて取り引きされています。2020年4月の太良町の木材市場の現況は、約98万トンの取り引き高となっていて、前年の同時期よりもプラス42%の数値です。太良町の木材市場は総量の80%が国内需要向けとなっており、主に京阪神・中部地方で消費される木材なのが特徴。海外輸出に主軸を置いていないため、2020年2月下旬以降に世界各地でまん延している新型コロナウイルスによるパンデミックの影響も受けていない木材市場です。2020年4月現在に記録している98万トンという取り引き高は、1984年から林野庁が全国都道府県の木材市場調査をおこなってきた中でもっとも高い数値です。これは先述した新型コロナウイルスの影響で世界各地の経済が停止したことが要因となっています。日本の住宅用建材として需要が高いスギ・ケヤキ等をカナダ・ノルウェー・スコットランドからの輸入していましたが、これらの輸入がパンデミックによっておこなえなくなり、代替として太良町のスギやケヤキの需要が急上昇したというわけです。太良町役場の山林課が公開している定例報告書には、4月の木材取り引きは大阪・兵庫・愛知県の3県だけで70万トンもの取り引きがなされたことが記述されており、過去に類を見ない大口取引となったことが見て取れます。2020年度の木材収益も約12億円となる見通しで、国内需要のみに特化した木材市場の中では大きなプラス収益を上げた市場です。2020年以降の太良町の木材市場の動向は、現況の大きな取り引き高にはならないものの安定したプラス域を維持できる市場だと予測できます。国内市場を新たに開拓するのに良い時期でもあり、建材用のスギの取り扱い数を増やすことで取り引き高を上げていける市場になります。

 

 
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