佐賀県江北町における木材市場の現況(令和2年 2020)

佐賀県江北町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

佐賀県江北町は江戸時代より林業が盛んな地域で、町の地場産業として爪楊枝作りが挙げられているほどです。この爪楊枝は町内で取り引きされているスギを用いて製作されており、「江北の楊枝」という名で国の伝統工芸にも登録をなされています。江北町の2020年5月現在の木材市場の現況は、前年の同時期と比べてマイナス12%の約42万トンの取り引き高です。2019年度は年間総取引量が約190万トンに上っていましたが、4月に江北町の山林課が発表した定例報告書では2020年度の総量は160万トンに留まるという算出をなされました。これは江北町の木材市場の大半を占める爪楊枝生産量の落ち込みに起因しているといえます。爪楊枝の生産が落ちている背景には、2020年4月に政府が発表した緊急事態宣言が大きく影響をしており、爪楊枝を消費する飲食店や観光ホテル等が相次いで1か月〜2か月間の休業を余儀なくされたからです。これにより江北町でも爪楊枝生産と出荷が停止しており、必然的に木材の取り引きも停滞したままです。なお、6月以降は緊急事態宣言が解除され、経済活動も再開されるので江北町の木材市場も正常化なされることでしょう。江北町の木材市場で取り扱っている木材はスギの1品種のみで、全体総量のうち80%が町内の製材所で消費されています。地産地消という形態をとっていえるのは全国でも類を見ず、それ故に需要に見合っただけの供給しかしないので安定した市場を保ち続けています。全体総量の残りは中国地方の住宅用建材に使用されていて、耐久性に長けているスギは主に大黒柱や梁に使用する丸太のまま出荷されているのが特徴です。2020年以降の江北町の木材市場の動向は、今後も木材取り引きの主軸は地元の消費となり、現況と変わらない取り引きがなされていく見通しです。2020年度は赤字収益になりますが、2021年以降は再び黒字に戻って町の財政を支えていくことでしょう。

 

 
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