佐賀県大町町における木材市場の現況(令和2年 2020)

佐賀県大町町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

佐賀県は森林資源が豊富な地域で、江戸時代から明治にかけて林産業で栄えてきました。明治期になると炭焼きなどの燃料用の伐採が行われ、山肌が露出して大雨による土砂崩れや干ばつに悩まされてきました。明治時代になると松やヒノキや杉の植林が行われて、需要の多い木材が造林されました。植林後は地元民の手によって、下草刈やつる切りや枝打ちなど手間のかかる作業を行って豊かな山林が守られてきました。豊かな山林が育って、大雨による土砂崩れや干ばつにも悩まされなくなりました。佐賀県大町町は、県のほぼ中央の位置にあり、およそ半分が山林で残りが農地の内陸部の地域です。戦後の建築資材不足の時期に、まだ伐採には早い若い木材まで伐採されるほど需要が増加して高度経済成長期までその活況は続きました。明治期の乱伐により山肌が露出する土砂崩れの経験から、植林も行われてきました。木造一戸建ての建築材の需要は1990年代のバブル崩壊まで続きましたが、植林した木がまだ建築用に使えるほど育ってなかった事や、林産業の従事者の高齢化や、安価な輸入材が入って来た事などが重なって競争力を失って衰退しました。2000年を過ぎると、新興国の台頭により建築用の木材の需要が増加し始めました。さらに環境対策で世界中で木材チップを使ったバイオマス発電が盛んになり、需要がさらに増加しました。それに反して今まで安価な木材を供給していた国々では、環境対策と資源保護に動き出して乱伐が規制され始めました。そのため需要と供給のバランスが崩れて、世界的に木材価格が高騰し始めました。佐賀県大町町では、衰退期以前に植林された木が良質に育って丁度出荷適期になっていて、その世界の需要不足の流れに乗って輸出量が増加し始めました。それでも林産業の下草刈りやつる切りや枝打ち作業は過酷なため、従事者の減少しつづけてました。過酷な労働条件を改善するために県の森林組合などが、最新の機材を用いて林業の負担軽減策が研究されています。佐賀県大町町における木材市場の現況は、林業従事者の労働条件の改善や世界的な需要の増大により改善されつつあります。

 

 
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