河内長野市における木材市場の現況(令和2年 2020)

河内長野市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪府の南部・河内地方に位置する河内長野市は、江戸時代から林業が盛んな地域です。現在も地域の主力産業が林業となっており、2020年上半期の木材市場の現況は約45万トンの取り引き高となっている国内有数の木材収益を収めているのが特徴です。前年の同時期で約25万トンであったことが木材市場センターの歳時報告書で見てとれるので、2020年度は更なる収益増加に期待できます。河内長野市の木材市場で取り扱っている木材はスギとヒノキの2種類のみで、年間と通して温暖であり、標高1,400m級の和泉山脈で自生している木々は耐久性に長けているのが特徴です。この一帯の山は林野庁による保全区域でもあるため、人の手が加えられて安定した供給がおこなえます。年間300万トンまでしか伐採することはできませんが、国内需要にしか対応していない木材市場でもあり、需要に見合っただけの供給がなされています。主に京阪神と中部地方の市場へと流通している木材で、河内長野市内に数多くある製材所で丸太・集成材・角材に加工されてから市場へと流通。この加工時に排出される間伐材を使用して割り箸・爪楊枝に加工する会社もあり、河内長野市を代表する名産品になっているほどです。「河内ようじ」という名で全国に出荷され、一つひとつ手作業で製作していることから国の伝統工芸にも指定されました。取り扱われている木材は神社仏閣の建設・修復に使用されるもので、2019年の天皇即位の儀において伊勢神宮内宮の神殿造りにも河内長野市の木材が使用されました。これらを考慮すると、高品質な木材を取り扱っていることが伺えます。2020年以降の河内長野市の木材市場の動向は、今後も国内需要向けに焦点を絞って供給されていくと予測できます。現況の取り引き状況を保っていけるだけの山林資源が市内にあるので、需要と供給のバランスを保ち続けることが比較的容易におこなえる地域といえます。

 

 
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