太子町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

太子町は大阪府南西部に位置する立地から、林業が盛んな地域となっています。奈良県との県境にもなっており、町内にある木材市場には奈良県香芝市・三郷町の一部木材取り引きもなされているところです。2020年の太子町の木材市場現況は約280万トンで、林野庁による木材市場調査が開始された1984年以降、もっとも高い取引率を誇ることになります。これは国内需要だけでなく海外輸出率も大幅に伸びることが要因となっており、輸出高に至っては約160万トンと全体の半数以上を占めることが太子町の山林資源課の定例報告で明らかにされました。取り扱っている木材はスギ・カシ・イケヤキの3品種で、カシに至っては住宅用建材としては非常に高い需要を持つものです。国内では調度品への加工材料として使用されていますが海外輸出用の重要な資源であり、特にフランスでは昨今急増している木造住宅の建設で使用されています。太子町に木材市場が設置された1981年当時は、100%国内市場向けの木材しか取り扱われていませんでした。年間の取り引き高は約80万トンで、府内の木材市場としては第18位の小規模なものだったところです。ところが1989年から海外輸出にも対応することになり、この時に奈良県西部の一部地域を管轄する木材市場の機能も持つようになりました。主な輸出先はシンガポール・フランス・カナダ・デンマークなど世界7か国で、これらの国々との取引収益は、2019年度で約18億円を記録したほどです。太子町の財政の約60%をまかなうほどであり、林業によって町が機能しているといっても過言ではありません。2020年以降の太子町の木材市場の動向は、これから先も海外輸出を基盤にした市場となることが予測されます。町内で林業に従事する方々の高齢化が問題視されていますが、若い世代への技術継承と就労支援を太子町は進めており、今後も町を代表する産業を維持されていくことでしょう。

 

 
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