羽曳野市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪府の南東部に位置する羽曳野市は、奈良県との県境に位置するため木材市場の一部でも奈良県の木材を取り扱っているのが特徴です。市内には計24件の製材所があり、ここで丸太や角材・集成材に加工されてから市内にある木材市場南部センターへと運び込まれて取り引きされています。羽曳野市の2020年も木材市場の現況は約140万トンで、林野庁による各自治体の木材市場調査が開始された1984年当時よりも6倍の取り引き高を記録していることがセンターの定例報告で明らかになりました。羽曳野市では奈良県熊野山地と和泉山脈で伐採されているヒノキ・スギ・ケヤキの3種類の木材を取り扱っており、住宅用建材という形で国内需要向けに取り引きされています。なお、1996年まではアメリカ・中国・シンガポールの3か国向けに木材輸出もおこなわれていましたが、これらの輸出は大阪市内にある木材市場西部センターに機能が移行されました。現在は主に九州・山陰・京阪神地方向けの取り引きで、年間約35億円の木材収益が羽曳野市の財政の4割を支えるに至っています。熊野山地・和泉山脈で伐採される材木は良好な土壌で生育しており、温暖な気候の影響を受けて幹が太くて真っ直ぐなのが特徴です。これにより住宅建材としての利用価値が非常に高く、大黒柱や梁に使用されています。また、調度品に加工されることも多く、タンスやテーブルといった木目に価値を見出す商品にも起用されやすいです。羽曳野市の2020年以降の木材市場の動向は、今後も国内需要向けに主軸を置いた取り引きをなされていくことでしょう。大阪府内で第15位という年間の木材取り引き高で供給率が少ない地域ですが、需要に見合っただけの市場規模を維持されています。高品質な木材の取り扱いという目的を持つところでもあり、市内に点在している製材所と協力した形で国内需要にしっかりと応えていく木材市場となっているところです。

 

 
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