岸和田市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

岸和田市は大阪府の南部の海沿いに面した市で、昔から交易港で栄えた地域です。岸和田では林業を行う森林はありませんが、市内の海沿いの地域に大きな木材コンビナートがあります。この岸和田市の木材コンビナートは、戦後の高度経済成長期の木材需要の増加を期待して昭和39年に東洋一の木材工業集積地を目指して着工が始まり、昭和41年に完成した施設です。岸和田の木材コンビナートは、殆どを埋め立てで作られ、中央に2カ所ある貯木場をいれると総面積が200ヘクタールを超える広さがあります。昭和42年から、この施設を企業が利用し始めて、本格操業を開始しました。そしてこの岸和田の木材コンビナートを管理する協会が昭和42年に設立され、関連企業の技術の向上や経営基盤の強化に尽力してきました。戦後の高度経済成長期の木造建築ラッシュにのって需要が増えたことで、幸先のいいスタートを切りました。高度経済成長が終わっても、木造戸建て住宅の人気は衰えずに安定した需要が続きましたが、海外から安い外材が入って来たり、林業従事者の高齢化によって日本の木材市場は衰退しました。だけど岸和田市は林産地ではなく、木材のコンビナートなので、日本の林産品が減った時も海外の安い輸送の中継地として活況が続いてきました。2000年になると新興国のバイオマス発電などによる木材需要の増加と、林産国の環境保護による森林の保護政策で乱伐が規制され、需要が供給を大きく上回るようになりました。その結果、一旦衰退していた国内の林業が木材の価格高騰や、植林で森林資源が増えた事により活況を取り戻し始めました。そして2020年には、岸和田の木材コンビナートの広大な施設が、海外への関西地域の輸出拠点として役立てられています。海外の林材品の需要と価格の高騰は、こらからも暫くの間は続くと予想できるので、岸和田市の木材市場の現況は、当分安定的に好況を続いていくでしょう。

 

 
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