八尾市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪府の南東部・河内地方に位置する八尾市は東部に生駒山系がある地域で、明治時代から林業が盛んな土地です。府内計14か所にある木材市場センターのひとつがあり、河内地方一帯の木材取り引きを一手に担っています。2020年上半期の八尾市木材市場の現況は、2019年の同時期と比べると約35%もの取り引き減となっていることが、林野庁も中間報告書から読み解くことができます。大幅な取り引き数の減少となっていますが、これは世界情勢の影響を強く受けているためです。八尾市の木材市場では年間約580万トンの木材取り引きをおこなっているところですが、2020年2月以降はその取り引きが全面的にストップしています。ストップの原因は世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルスであり、各国で都市封鎖がおこなわれたことで経済活動も停滞したままです。木材市場も例外ではなく、貿易取り引きがおこなえていないので前年度よりも取引率並びに収益は1/3以下となっています。八尾市の木材市場の主な取引国はアラブ首長国連邦、マケドニア・スイス・オランダ・イタリアの計5か国で、6月以降は各国ともに経済活動が再開される見通しです。これによって木材市場の取り引きも正常化して下半期には例年通りの取り引き件数へと回復することでしょう。八尾市も木材市場で取り扱っている木材は生駒山系で伐採されているスギ・マツ・ケヤキの3品種です。水はけの良い土壌で生育しており、人の手によって山林の手入れが行き届いていることから高品質な木材を産出できています。住宅用建材としての需要が高く、アラブ首長国連邦に至っては年間約300万トンものスギを輸入している大口取引国です。2020年以降の八尾市の木材市場の動向は、貿易取り引きが再び活発となることで現況のマイナス域を抜け出せると予測できます。収益に至っては2020年度は約20%の赤字となりますが、市場規模を考慮するとさほど大きな影響は受けません。

 

 
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