豊能町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪府の北に位置する豊能町は、都市部に近いながらも標高600メートルを超える北摂連山に囲まれた自然が豊かな町です。北部は京都府、西部は兵庫県に隣接しているため古くから交通の要衝地で、近年では大阪市のベッドタウンとして発展してきました。大阪平野に続くなだらかな丘陵地帯にあり、淀川の堆積作用で生まれた肥沃な土地であるため優良な農地が存在しています。豊能町の総面積はおよそ34平方キロメートルで、そのうちの森林面積はおよそ22平方キロメートルと総面積の65パーセントを占めており、その全てが民有林で国有林はありません。樹種としては、かつて薪炭の採取など地域の生活と密接に関係していたため、アカマツ・クヌギ・ヒノキ林を主とした里山林が多く、野生動植物の豊かさが特色となっています。しかしながら、現在では薪炭の需要も減少していることから里山林の多くは放置状態にあり、荒廃竹林が増加傾向にあります。木材の生産量もスギとヒノキを中心に安定供給が続けられていますが、2000年と比較するとスギは40パーセント減、ヒノキは50パーセント減となっています。現在の豊能町の森林は7齢級以下の樹木が多いことから、木材市場では間伐の推進と木材利用を強化するため、丸太加工施設や製品保管を整備した上での間伐材の利用や買取、加工販売などを積極的に行っています。特にスギは豊能町の「町の木」にも指定されており、心材の耐久性が高いことから建築用材として人気があり、大阪府内を始めとして京都・兵庫の両県を含めた木材加工会社や住宅建材会社などと活発な取引が行われているのが、豊能町における木材市場の現況です。今後は、大阪府森林バイオマス利用推進行動計画に基づいた公共部門などへの木材の利用推進や、木質ペレットを中心としたエネルギー利用の拡大、地元材を積極的に利用した顔の見える木材による家づくりの推進などが木材市場におけるテーマとなっています。

 

 
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