大阪市西成区における木材市場の現況(令和2年 2020)

大阪市西成区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪市西成区の木材市場の現況は、2020年上半期は約15万トンとなっています。昨年度の同時期は約30万トンの取り引き率となっていたため、5万トンのマイナスではあるもののさほど大きな減少とは言えません。大阪市西成区で木材市場は設置されたのが1981年であり、翌年に林野庁による各地の市場動向調査が開始されました。この時の大阪市西成区の木材市場取り引き高は約10万トンしかなく、取り扱い木材はヒノキ・マツの2種類に留まっていました。主に神社仏閣の修繕と調度品の製作に使用される高品質な木材に限定されており、現在も国内市場向けが過半数を占めています。もっとも高い取引率を誇っていたのが1993年で、この時は大型台風による被害が全国各地で多発しました。これにより関西では法隆寺・室生寺・金峯山寺といった神社仏閣の重要文化財が破損する被害が出たため、大阪市西成区の木材市場で取り扱われているヒノキ材の需要が大きく伸びました。下半期だけで60万トンもの取引高となり、市場収入は約21億を記録したほどです。それ以降は平均値である約30万〜35万トンの水準を維持しています。ヒノキ1kgあたり約210円と全国平均値よりも2%の割高価格で取り引きされていますが、これは市場内で丸太や集成材・角材へと加工されているため卸価格に上乗せされる形となっています。なお国内市場向けのみで輸送コストがさほど掛かることないので、取り引き率には影響を与えない範囲といえます。大阪市西成区の2020年以降の木材市場の動向は、今後も安定した水準を維持していくと予測できます。国内市場向けをメインとされているため、世界動向の影響を受けることもなく取引価格も大幅な変動に見舞われることもありません。現況を維持し続けられる国内では数少ない木材市場であり、高品質な木材の取り引きに重点を置いておけば、これから先も需要に見合っただけの供給を保てるところです。

 

 
トップへ戻る