大阪市住吉区における木材市場の現況(令和2年 2020)

大阪市住吉区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪市住吉区の2020年の木材市場の現況は約320万トンで、前年の同時期と比べると約15%の増加となっています。大阪市住吉区内には府内6か所にある府立木材市場センターがあり、南大阪地域内で取り引きされている木材を一手に集約しています。各木材市場センター内では第3位の取り引き高となっており、取り扱い総量の約70%が国内需要となっているのが特徴です。大阪市住吉区は江戸時代から材木問屋が多く集まる一帯であり、紀伊山地や和泉山脈・笠置山地といった山林で伐採されたスギ・ヒノキ・カシ・マツなど豊富な品種の木材を取り扱っていました。この名残りで現在も区内に計6件の製材所があり、都心部に近い場所でありながら林業が活発な地域という特色があります。仏壇の製造が地場産業となっていて、「大阪仏壇」というブランド名で各地で販売されているほどです。この仏壇製作は国の伝統工芸にも指定されており、使用する木材はすべて紀伊山地で産出されるカシのみしか使われません。大阪市住吉区の木材市場で取り扱われている木材が同地域で消費されていますが、木材の地産地消をおこなっているのは全国でもこの大阪市住吉区のみです。取り引き率の30%は海外輸出向けとなっていますが、輸出先は主に中国・ベトナム・タイ・シンガポールのアジア諸国で、スギ・ヒノキ・マツの3品種を年間約90万トンの数量で取り引きされています。これらは住宅用建材ではなく調度品・仏閣の建設や修繕に利用されているもので、大量消費をなされていないのが特徴です。大阪市住吉区の木材市場で扱っている木材は市場センター内に併設されている加工場で、集成材・丸太・角材に加工をされています。しかし、加工費用が取引価格に上乗せされても取り引き価格は全国平均相場よりも15%も割安になっているのは、輸送コストが掛かりにくい都心部に市場があるのが理由として挙げられます。2020年以降の大阪市住吉区の木材市場の動向は、今後も国内需要に重きを置いていくと予測できます。地元の伝統工芸を支える木材市場として機能していくことでしょう。

 

 
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