大阪市都島区における木材市場の現況(令和2年 2020)

大阪市都島区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大阪市都島区は江戸時代から木材取り引きが活発で、数多くの木材問屋が軒を連ねていました。地域を流れる淀川(現大川)を利用して京都から木材を運び込み、大阪湾から廻船で全国各地へと木材を運び込む中継地点として機能していた歴史があります。現在もその名残りがあり、大阪府内でもっとも規模が大きい中央木材市場センターが設置されているほどです。大阪市都島区の2020年の木材市場の現況は約350万トンの取り引き高となっており、約500万トンを記録した前年よりも大幅にマイナスを記録しています。この数値は林野庁による各地の木材市場動向調査が開始された1984年当時と同等であり、マイナスの背景に世界情勢が大きく影響していることが伺えます。大阪市都島区の木材市場は約35%が国内、残りの65%が海外輸出という区分になっています。2020年2月に日本のみならず世界各国で猛威を振るっている新型コロナウイルスによるパンデミックで、各国は海外輸出・輸入という貿易も停止しています。大阪市都島区では主にイタリア・フランス・イギリス・スペインといった欧州地域へヒノキ・スギを輸出しているので、これらの取り引きが停止していることが取引高に反映されてしまいました。なお、8月以降は貿易が再開されるので、2020年下半期以降は取引率も回復していく見通しです。木材市場には材木加工場が併設されており、ここで扱われている木材を角材・集成材・丸太へと加工をしてから市場へと出されています。このため1kgあたりのスギの取引価格が約98円と平均取引価格よりも割り増しになりますが、税関チェックをパスできるというメリットも含まれています。2020年以降の大阪市都島区の木材市場の動向は、下半期に一定水準まで取り引き高を回復させられる見通しです。なお、前年よりも収益面ではマイナスになりますが、2021年からは再び年間平均値まで収益も回復させられると予測できます。

 

 
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