スプルースに対するコロナウイルスの影響について(令和2年 2020)

スプルースに対するコロナウイルスの影響について(令和2年 2020)

 

スプルースの原産地は北米大陸とロシアで、北海道の一部にも自生していますが、日本市場ではほとんどが輸入材に依存しています。そして北側の寒い地域では生育が遅くて硬く丈夫で、逆に南部の温かい地域だと柔らかくて壊れやすい傾向があります。スプルース材の性質は、軽量で弾力性が高く肌目が非常に緻密で見た目に優れて、さらに加工しやすく無味無臭のため様々な用途で用いられてきました。スプルースは軽量なため、昔から飛行機用材として使われており、高い耐久性が要求されない箇所の建材や、楽器や家具などに加工されて使われてきました。それ以外にも、建築用の壁紙の原料のパルプ材としても使われています。良質な物は音の響きがいいため、ピアノの響板やバイオリンの甲板などの楽器や、高級スピーカーの箱材に用いられてきました。
スプルースは日本では、ほとんどが北米とロシアの輸入に依存しているため、コロナウイルスの影響を受け始めています。北米大陸とロシア大陸では、コロナウイルスの感染により原木の伐採作業も一部で停止してます。それだけでなく伐採に必要不可欠な重機類の生産や流通も滞り、原木を加工する工場の建設などの建設も停止しています。それらの影響が既に出てきて、日本へのスプルースの輸出量が減って、供給量が減った事で品薄状態になり価格が高騰しています。そしてコロナウイルスの収束で生産が再開されないと、次のような影響が予想されます。スプルースに携わっていた林業従事者の将来を見越した離職が増加したり、原木伐採業者や加工工場も収益を上げられず倒産してしまいます。それに加えて、長期の伐採や山林の管理が行われない事で荒れ果てて、質の高いスプルース材が育たなくなります。また木材の流通に必要な林道も荒れ果てて、元通りに直すのに時間が掛かります。コロナウイルスが怖いのは、いつまでに収束するのか予想が立てにくい事で、長引けば長引くほどスプルース関連の産業に甚大な影響を与えます。

 

 
トップへ戻る