奥多摩町における木材市場の現況(令和2年 2020)

奥多摩町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

奥多摩町は東京都の北西部に位置し、江戸時代から林業が盛んな地域となっています。2020年3月の奥多摩町における木材市場の現況は、2010年3月と比べると約24%の市場縮小となっていることが奥多摩町の木材センターの報告書で読み解けます。奥多摩町一帯はスギ・ヒノキが多く自生している奥秩父山地が広がっていますが、1989年以降は木材伐採による森林破壊が社会問題となりました。山の地肌がむき出しになったことで土砂崩れが相次ぎ、1993年から東京都並びに環境庁(現環境省)によって木材伐採数量の上限規制が設けられました。これにより1988年のスギ・ヒノキの伐採ピーク時の年間420万トンの数量から1994年は約45%の200万トンとなって、大幅な木材市場の縮小となっています。2000年以降は奥多摩町の西部でヒノキの植林がなされており、今後は木材を伐採した分だけの植林をおこなって現状維持に努めていく傾向にあります。2020年の木材市場の現況値はスギが約63万トン、ヒノキが約45万トンの取り引きとなっていて全て国内消費です。奥多摩町で伐採される木材は市場に併設されている加工場内で、丸太や集成材に加工されて各地の取引先へと贈られます。そのため1kgあたりの取り引き価格が全国平均の210円よりも割高の400円となっているのが特徴です。品質がいい木材を扱っているので神社仏閣の建材や補修材という使われ方をメインになされているので、年間の生産数量が国内第20位という少ない数量であっても需要に対して十分な供給がなされています。2020年以降の奥多摩町の木材市場の動向は、今後も生産規制数量内を維持しながら市場を保っていくでしょう。現況を踏まえると一定数量でも需要と供給を賄えているため、安定した木材数量を明確にして全国各地の取引先へと卸されると見て取れます。国内の木材市場の中で数少ない、国際状況に左右されない市場でもあります。

 

 
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