稲城市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

東京都の北西部にある稲城市の2020年4月現在の木材市場の現況は、約35万トンの取り引き高を記録しており都内でもっとも多い数量となっています。稲城市は1940年代から奥多摩山地と一部秩父山地を管轄とする林業が盛んで、国内第5位の年間取り引き高を誇っているほどです。2019年の年間木材総量は約320万トンとなっているため、今後は下半期に向けて大きく数字を伸ばしていくことでしょう。稲城市の年間取り引き高のうち、約290万トンは海外輸出数量となっています。輸出先はシンガポール・マレーシア・中国・フランスの3か国で、高級住宅の建材に用いるスギ・ヒノキが主要材木です。奥多摩山地のスギ・ヒノキは関東ローム層の土壌で育っているのが特徴で、他の山林のものよりも幹が太くて綺麗な木目が形成されています。これが諸外国で好まれており、1kgあたり約140円の卸値であっても高い需要をキープするに至りました。さらに木材市場内に加工場があるため、輸出時は丸太や角材・集成材にして運搬されることで関税を大幅に下げられるというメリットが海外の取り引き先から好まれている要因です。稲城市は林野庁による各自治体の木材市場調査が開始された1986年当時は、年間約89万トンの木材しか取り引きをおこなっていませんでした。この数値は国内需要向けであり、1990年に解禁された木材自由貿易によって、世界に向けた輸出を開始して大きな収益を獲得するに至っています。2020年以降の稲城市の木材市場の動向は、今後も海外輸出によって収益が維持されていくと見受けられます。現況の日本国内の住宅事情を考慮すると、木造住居から鉄筋造りへとシフトチェンジがなされており、国内の材木需要は今後も減少していくことは明白です。しかし、稲城市の場合は木材市場の年間収益は海外輸出が80%を占めているので、流通ルートを新たに開拓することなく安定した取り引きを続けることができます。

 

 
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