西東京市における木材市場の現況(令和2年 2020)

西東京市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

関東圏内にある計8か所の木材市場を管轄している、西東京市の「市営木材市場西部地域センター」の2020年4月の市場現況は前年と比べてマイナス12%減の11万2,000トンになっています。この数値は林野庁による全国各自治体の木材市場調査が実施された1986年当時と比べても少なく、2020年度は大幅な伸び率と黒字決算がなされない見通しです。記録的な下げ幅となった背景には、世界規模の新型コロナウイルスによる影響が要因です。西東京市の木材市場は、75%が海外需要に応じている木材輸出市場となっています。海外輸出量が年間約220万トンもあり、国内の木材市場の中で第3位の輸出率を誇っているほどです。輸出ピーク時だった1996年には、年間400万トンものスギ・ヒノキをアメリカやフランスといった先進国向けに出荷していましたが、2020年3月以降は輸出対象国のほとんどでコロナウイルスによる活動制限がなされており貿易に至っても例外ではありません。コンテナ湾の閉鎖と経済活動の停止が重なり、木材市場内の取り引きが国内需要向けのみしか機能しておらず、大幅な取引率の低下に結びつきました。現況を考慮すると、2020年度内は西東京市の木材市場はマイナス域から脱却するのが難しくなりますが、代わりに国内需要向けに現在保管されている材木を一定数量で流通させることを月間算出報告書内で提示しています。これにより、取り扱っている木材の取り引き単価が下がり、2019年度までは1kgあたり約60〜12円台であった卸価格が20%ほど下がる見通しです。さらに、2018年から西東京市の市場では小売店向けの卸業もなされているので、一般小売店で販売される材木の単価も下げられます。2020年以降の西東京市の木材市場の動向は海外輸出の再開時期が、売り上げ並びに取引高のプラス域への移行となる鍵を握っています。現況ではマイナスのままなので、1年間は大きな販路の開拓には踏み込めないでしょう。

 

 
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