町田市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

町田市は東京都の多摩南部に位置する市で、市域の大部分が多摩丘陵に属しています。西側にある草戸山を始めとした丘陵地帯で境川や鶴見川などの河川も多く、東京都の中では自然が豊かな地域です。東京都ではありますが東京都に接しているのは市の北側のみで、他のほとんどの地域は神奈川県に接している半島状の特異な形状であり、国道246号や高速道路、鉄道網も発達した交通の要衝地ともなっているため、首都圏と神奈川県のベッドタウンとしての役割も持っています。町田市の総面積はおよそ7200ヘクタールと多摩地区の中でも4番目の広さがありますが、住宅街が多く形成されており森林を含む林野面積はわずか771ヘクタールしかなく、その内訳は国有林が2ヘクタールでその他は民有林となっています。町田市北部の市街化調整区域内の丘陵地帯にはまとまった樹林地が存在し、丘陵地に細かく入り込んだ谷戸には樹林地と一体となった農耕地があり、2000年当初の市域全体における緑の割合はおよそ40パーセントとなっていましたが、大規模な団地開発により樹木地は急激に失われて現在に至ります。町田市の木材市場は1件のみですが、プレカット製品や住宅用部材などの従来からある木材販売店向けの卸売市場あることに加え、工務店などの建築のプロが直接購入できる会費制直需木材市場で、他の仲介業者を通さず市場との直接販売となっているため、余計に発生するコストを抑えられることが特徴です。平均2000坪の中に各地から厳選した多種多様な木材が取り揃えてあり、主な流通先は東京と神奈川を中心とした関東周辺の木材販売店や木材加工業者で、6月と9月の年2回記念市も開催されるなど現況としては活発です。今後の町田市は民有林の保全と活用に力を入れるとともに、森林を含めた生産緑地地区の減少抑制や新たな用地取得のための財源確保、民有林保全のための助成や支援などの取り組み促進に繋がるインセンティブ付与などの問題が課題となっています。

 

 
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