足立区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

足立区には1996年に「都営木材市場東部センター」が設立されました。2020年4月で取り扱われている木材市場センターの現況取り引き高は約45万トンで、2019年の同時期よりもマイナス12%となっています。なお、この木材市場センターでは毎年8月に関東圏内の計15か所にある木材市場からスギ・ヒノキといった住宅建材用の材木取引がなされるため、2020年の下半期は前年と大差ない取引率となる見通しです。足立区の木材市場の場合、建材や家具等の製造に利用されるスギの取り扱い量が国内第3位となっているのが特徴です。主に関東山地と足尾山地のスギで、関東ローム層が蓄積した豊かな土壌の影響を受けて耐久性に長けています。さらに、通常の山林であれば建材として利用できるまでスギが成長するには約35年の歳月が掛かる所ですが、関東山地では15年という短い月日のみで高さ15m・幹回りが2mに成長します。このため、足立区の木材市場センターでは毎年需要に見合っただけの木材を仕入れることができ、安定した売り上げ高を誇るようになりました。2010年からは海外輸出を開始しており、シンガポール・マレーシアといった東南アジア諸国に向けて年間25万トンの輸出をなされています。海外輸出の売り上げ高は2019年度で約5億となっており、全国の木材市場と比べると輸出で得た純増利益は少ないものの、足立区の財政に大きく貢献していると広報誌で記載されるに至りました。2020年上半期の現況を見るとまだ海外輸出の売り上げ高の詳細な算出はなされていませんが、2019年と同等の輸出がなされるので売り上げ高も同等となります。足立区の木材市場の2020年以降の動向は、今後は国内の材木需要が減少していくことが予見されており、海外需要に焦点を合わせると見受けられます。これに伴い、需要が高いスギの取り扱い件数を伸ばしていき、輸出対象国も増やして純増利益をあげることでしょう。

 

 
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