板橋区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

板橋区には1978年に設立された都営木材市場センターがあり、関東と一部信州地域で産出されたマツ・ヒノキ・スギの取り引きがなされています。2020年3月現在の板橋区の木材市場の現況は56万トンとなっており、この数量のうち約80%がマレーシア・シンガポール・アメリカ・フランスの海外輸出となっていることが、センターの月間報告書から読み取れます。2019年度の年間取引高は約690万トンだったので今後下半期に取引総量は伸びると見受けられますが、2020年は世界各地で新型コロナウイルスが流行しており、各国のコンテナ港が閉鎖される事態となっています。これにより2020年度の木材輸出入総量は、前年よりも低くなることは必然といえるでしょう。板橋区の木材市場センターでは林野庁による全国自治体の各木材市場調査が開始された1985年当時、年間210万トンの木材取引しかありませんでした。これは東京の多摩地域・埼玉の秩父地域の山林でのみ産出された材木しか取り扱っていなかったためです。1996年からはこれは2地域だけでなく、林業が盛んな山梨県の北都留郡一帯で産出された木材も取り扱うようになり、大幅な取引総量数となるに至りました。板橋区の財政収入のうち約32%が木材市場での売り上げが占めているので、都心の中の林業一大地と喩えられるほどです。木材市場センター内に加工場が併設され、ここで取り引きされている木材は角材や丸太・集成材に加工されて出荷されます。このため板橋区では1kgあたりの取り引き価格が全国平均価格よりも数%高くなる傾向にありますが、海外輸出の場合は現地で手入れをする必要がないということで、重宝されるメリットが高い輸出率を支えているといえます。2020年以降の板橋区の木材市場の動向は、海外輸出が大半を占めてることで新型コロナウイルスの世界規模の終息時期に大きく左右されると予測できます。なお、国内需要に至ってはその限りではありません。

 

 
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