目黒区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

木材市場とは、木の所有者から生産者へと渡った木材を集荷して売買取引する、流通の主要拠点です。その歴史は古く、木材の需要が高まった江戸時代初期に始められたといわれています。現在では基本的に、日にちを決めてセリを行い、高値をつけた買い手へ販売するという形態がとられており、その取引に関わる一連の業務を木材市場が担っています。具体的には、生産者からの原木や製材品の集荷や材質・長さなどによる仕分けと保管、セリなどによる価格形成機能などが、木材市場の役割です。主に国産の原木を扱う原木市場が多く、製品や製材を扱う製品市場もあります。全国にある市場は、問屋で構成される卸売市場と仲買で構成される小売市場があり、現物取引が行われています。1960年には、新興住宅の増加などで需要が高まり、流通機能がない地域に問屋の機能をもつ木材センターが設置されました。
目黒区には、現在10か所ほどの木材店や製材所があります。2020年現在の木材市場全体の現況として、国産材の年間取扱量は回復しつつあるものの、木材の価格が下がり売上が減少していることなどから厳しい状況であり、目黒区に関しても流通の減少など同様の影響を受けているといえます。原木市場と製品市場合わせた全国での総数は年々減少し、2016年時点で約413か所と半数近くとなっており、特に製品市場は流通の縮小によって約4分の1に淘汰されました。木材センターや、卸売・小売を行う販売業者なども含めた全体の総数も減少が続き、倒産率が上がっています。考えられる理由としては、少子高齢化による人口の増加などから住宅の新規着工が減ったり、海外で作られた集成材の利用が増えたりといった状況です。そのため、すぐに大幅な需要の増大を目指すことは難しいですが、業界全体で国産材の価値を上げるための様々な取り組みが行われています。大手住宅メーカーも、建材に積極的に国産材を使うよう見直しを行うなど、徐々に需要拡大に向けた動きが広がっています。

 

 
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