品川区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

木材市場は、現在全国に約400ほどあり、主に国産材の流通に関する一連の取引を行う主要な拠点です。そのほとんどは、原木を扱う原木市場となっていて、生産者が持ち込んだ原木を、樹の種類や材質、長さなどによって仕分け保管し、買い方を集めてセリを開催し売買取引を行っています。このようなセリを行う市売市場は、問屋に販売する卸売市場と仲買に販売する小売市場に分類されます。どちらの場合も先物取引は行わず、現物取引のみが行われるのが特徴です。木材市場の歴史は古く、大阪などでは木材の流通が増加した江戸時代から始まったとされ、その後東京や名古屋の木材市場でも盛んに取引が行なわれるようになりました。住宅の建築が増えた1960年代には、木材の需要が高く流通が整っていない地域約60か所に、問屋のように販売を代行する木材センターが設置されるなどニーズは拡大しました。
しかし、2020年現在の現況としては、様々な取り組みにより国産材の需要は回復しつつあるものの、価格が下がったことによる売上減少などが続き、木材産業全体での倒産率が増えています。その総数は、2016年時点で原木を扱う原木市場と製材品を扱う製品市場合わせて413か所とされ、1980年代と比べても約半数近くに減少しています。また、卸売・小売を行う販売業者なども含めても、減少が続いている状況です。木材市場は、セリによって公正な値段によって好きなだけ取引ができるといった仕組み上、木の需要による価格の変動を受けやすく、深刻な売上げ減少が続いています。現在、品川区には10か所以上の木材店があり、比較的木材店が多い地域です。しかし、全国的な現況を考慮すると、同様に厳しい状況であるといえます。そのため、今後の各木材市場や小売店では、建材の流通を行うなど、多角的な工夫が必要になる可能性がありそうです。業界全体でも、住宅以外の建築物で木材を活用するなど、木の魅力を高めて需要拡大を目指す取り組みが行われています。

 

 
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