中央区における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

東京都中央区の2020年上半期の木材市場の現況は、4月現在で取引高が52万トンとなっています。2019年の同時期よりも12%のマイナス数値となっていますが、これは世界規模の新型コロナウイルスの蔓延が大きな起因になっているといえます。中央区には関東45か所にある木材市場を取りまとめる「都営中央木材市場センター」があり、1984年に林野庁によって設置されました。1990年の時点で年間約620万トンの材木取引がなされていて、主に秩父山地・日光山地で伐採されたヒノキ・スギ・マツ・クリといった材木を取り扱っているところです。年間取引総数のうち国内需要向けが約35%に対して、海外輸出向けが残りの65%もの総量で占められています。アメリカ・カナダ・フランス・イタリアといった先進国向けとなっており、現地では高級住宅の建材としてヒノキとスギが利用される傾向があります。ピーク時の2005年にはアメリカのみで約410万トンの輸出高を占めていましたが、2008年のリーマンショック時の翌年は年間120万トンという大幅な減少になりました。この時は中央区の林業収益が約1億3,000万となって、中央木材市場センターが設立されて初めての赤字となったほどです。その後は少しずつ取引高と売り上げを伸ばしていましたが、2020年2月の新型コロナウイルスの爆発的な流行とともに、世界各国で輸出入の規制も掛かっています。中央区木材市場の最大取り引き相手であるアメリカでも緊急事態宣言がなされ、国内すべてのコンテナ港が閉鎖されおり、木材輸出ができないでいます。2020年以降の中央区の木材市場の動向は、2008年と同等かそれ以上の大幅な減収となる見込みです。4月段階の現況を考慮すると純増利益よりも赤字が増えることとなりますが、国内向けの需要は維持されたままなので木材市場という単位のみでみると赤字を埋めることは十分可能となっています。

 

 
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