大口町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

大口町は愛知県北西部の尾張地方に位置しており、総面積はわずかに13平方キロメートルと、県内の他の自治体と比較してもたいへん小規模です。町域全体が濃尾平野の低地にあるため、森林面積は統計上はゼロの扱いであり、市内の従業者数のほとんどは製造業か卸売・小売業に分類されます。したがって愛知県内の他の自治体とは異なり、大口町それ自体の森林で素材生産などが行われることはありません。ただし大口町の場合に特徴的なポイントは、町内に木材市場が開設されており、ここでは県産材をはじめ全国さまざまな地域から集荷された木材が取引されていることが挙げられます。取り扱われる樹種はヒノキやスギが代表的で、それぞれ良材をもって知られていることは周知のとおりですが、そのほかにもマツ・モミ・ケヤキなどがあります。またこのような木材市場があるところから、周辺には問屋も多数集まっているところなども、他の自治体とは異なる大口町ならではの風景といえるでしょう。木材市場の現況としては、基本がせり売りのため価格的には時期などによる上下動が必然的にともないますが、最盛期と比較すればやはり価格の低迷が認められます。ただし季節ごとに特別市や銘木市などの冠をつけたイベント的な取引もよく行われているため、これらの機会に高値で取引されるケースがあります。足元の愛知県内を通観すれば、やはり建材としての木材需要の減少や安価な輸入材の普及、若い後継者の不足、零細な森林所有者の点在や不在地主の問題などもあって、林業の分野はかなり苦戦している状況にあります。このようななかにあって、最近はあいち認証材のシステムを構築して良材のブランド化を進めるなどの取り組みが生まれており、今後の市場取引の活発化に向けて好ましい影響があることが期待されます。それとともに間伐による森林整備なども、林業分野での重要課題のひとつとして全県にわたって推進されているところです。

 

 
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