西伊豆町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

静岡県の西伊豆町は駿河湾に面した立地になっており、木材市場の現況は輸出と輸入、いずれも高い水準になっています。西伊豆町の製材所では楠や欅などの他に、安価な杉なども提供しています。西伊豆町は付近が山に囲まれているので、静岡県内でも林業及び加工業が盛んです。加工した木材は国外に輸出するだけでなく、木材増殖として駿河湾の漁業組合に販売されることもあります。平成24年から木材増殖用の開発は盛んになり、付近に生息する魚類の産卵場として活用されるようになりました。現在も継続して開発が行われており、木材を活用する方法は自然分解されやすいので、コンクリートを使用する場合と異なり環境保全に適した仕組みになっています。他にも加工が容易で輸送も簡単であることから近年では更に開発が進んでいます。更にコンクリートを使用する場合と異なり木材を使用することで、周辺の山の管理が可能になり、土砂災害などの被害を低減させることも可能です。西伊豆町の木材市場の需要は、住宅などの製材用途として活用するだけでなく、現地の漁業組合からも活用されているため非常に高いです。また、周囲を山で囲まれている現地では、植樹などの林業も活発に行われています。取り扱われている木材は杉やヒノキだけでなく、竹や椎などもあります。ただし、木材の食害率は近年高まってきており、その生産性は戦前よりも大きく下回っている状況です。そのため、原木の単価のみで考慮すれば国内水準よりは比較的低い水準にありますが、中国やアメリカ、韓国などよりも高くなっています。追い打ちを掛けるように生産に関わる担い手不足も近年から懸念されており、鹿などの食害も深刻です。現況においては地元の漁業組合からの需要がありますが、生産コストの高騰により輸入品に頼らざるを得ない状況になってしまう可能性があります。そのため、今後は西伊豆町付近の木材市場は製材所の増加に伴い、輸入品の原木の加工が中心になります。

 

 
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