南伊豆町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

南伊豆町は伊豆半島のなかでも最南端に位置しており、その北側は天城山脈の山々が連なり、南部は太平洋に面しているなど、たいへん自然豊かなところです。昔から漁業や林業をはじめとした第一次産業が基幹産業となっていましたが、現況では農林水産業者の高齢化と担い手となる若い人材の不足によって、木材市場はかなり厳しい状況が続いています。南伊豆町の森林率は77パーセントほどで全国平均からみても高めであり、民有林の面積は8000ヘクタール以上で、市の森林基本計画の対象地域にあたります。人工造林されたものはヒノキやスギが主体ですが、実際のところ南伊豆町の場合はどちらかといえば針葉樹林よりも広葉樹林、たとえばクヌギやカシなどの樹種が多いところに地域的な特徴があるといえます。そのため一般的な製材加工に加えて近年では見直されてきている薪ストーブなどの需要にこたえるため薪木販売、あるいは木質バイオマス発電などの分野に新たな可能性が生じているといってもよいでしょう。また行政でも学校などの公共建築物に対して地元木材を積極的に利用する方針を策定しており、この分野での需要も考えられるところです。また木材市場の再生に向けては、まずは荒廃した森林の再生の部分から手がけなければなりません。特に過去数十年にわたって間伐などの手入れが行われずに荒廃している森林も少なくはないことから、市内においては間伐の計画的な実施や林道の整備などが行われています。これには静岡県の補助事業の森の力再生事業などの財源が充当されており、一定の成果を上げているところです。また市内の森林はかならずしも大規模かつ一体的な所有関係にはなく、小規模な所有地が飛び地のように散在しているケースも多いことから、集約化を進めることで効率的な事業展開をしていく取り組みも進められています。ほかに所有者負不詳の森林も少なからずあり、これは今後に向けて解消しなければならない課題のひとつです。

 

 
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