伊豆市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

伊豆市は静岡県内の最東部の伊豆半島にあり、半島のなかではその中心部を占めます。伊豆市の西部は駿河湾に面していますが、市内のほとんどの部分は森林となっており、南部には標高およそ1400メートルの天城山がそびえ、市域面積全体に占める森林面積の割合を示す森林率でいえば80パーセントを超過しています。このようなことから伊豆半島のなかでも特に古くから林業の盛んな地域といえ、林家数では1000戸以上と、300戸程度が標準的な他の半島各地の市町村との比較ではその数値が大きく上回っています。森林内の人工林割合は50パーセント程度、樹種でみるとヒノキとスギのツートップとなっており、そのほかにも特徴的なところでは、天然林のクヌギやコナラその他の広葉樹林も比較的多いところが挙げられます。したがって市内の木材市場の現況も活気を呈しているといいたいところですが、実際のところは林業そのものが全国的に高コストで収益性に乏しいことに加えて、後継者となる人材が不足していることもあいまって、基本は長期低迷といわざるを得ません。特にこの地域では森林所有規模が10ヘクタール未満の小規模零細な所有者の割合も高いことから、委託による大規模集約化などの取り組みも必要とされているところです。また最近では伊豆市が公共建築物における木材の利用促進策を行政の施策として掲げており、このような木材の地産地消も将来に向けた活路を開くものとして注目されます。ほかに木材そのものではなく、たとえば広い意味での林産品の一種にあたる原木しいたけやわさび栽培、あるいは有害鳥獣対策の一環でのジビエ料理の活用といった、地域のオリジナルな魅力を生かした特産品の開発や全国頒布なども期待されています。また外部からの地域おこし協力隊が森林プランナーとして活躍するなどの、人的な面での受け入れや他地域との交流なども進んでおり、今後も目が離せないといえるでしょう。

 

 
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