森町における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

森町は静岡県の天竜地域に位置しており、ちょうど西に天竜川、東に大井川といった有名どころの河川にはさまれた南北に細長い地形をしています。森町という名前にあるとおり、静岡県のなかでも太平洋に面していない内陸の自治体であり、周囲を森に囲まれた地形ということができます。町域の総面積13000ヘクタール中、森林面積は9500ヘクタールであり、森林率は70パーセント以上となっており、これは静岡県の平均からみても高い水準です。国有林もわずかにありますがそのほとんどは民有林が占めており、樹種でみるとスギとヒノキを主体とした人工林が多くなっています。またこれらの人工林の90パーセント近い割合が40年以上の伐採適齢期を迎えていますので、積極的な利用が待たれるところです。森町の木材市場の現況としては、全国的な流れに同じく木材価格の長期低迷があることは否定ができない事実といえますが、いっぽうでこの地域では隣接する掛川市などと連携して森林認証制度を活用した森林経営を積極的に行っており、認証材を活用したブランド化による価格水準の引き上げの取り組みもあります。なお丸太などを木材市場に出荷するほか、地域の合板工場への出荷もみられ、近年は従来からのチェーンソーによる伐採に加えて高性能林業機械で素材生産の効率化を行うなど、多角的な視点から地域の林業のブラッシュアップを図っています。このような取り組みを通じて、静岡県の中遠農林事務所管内では掛川市に次いで林業の業種別生産額が多い自治体にもなっており、木材価格の低迷や林業の担い手不足、小規模零細森林所有者の多さといった逆境のなかでの健闘が目立ちます。また森林資源は利活用そのものだけではなく、将来に向けて守り育てる姿勢も重要なため、間伐などによる森林整備も定期的・計画的に進められており、これには森林づくり県民税などの財源を用いた県の補助事業が活用されているところです。

 

 
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