掛川市における木材市場の現況(令和2年 2020)

静岡県西部に位置する掛川市には、市域の北部に八高山や大尾山、栗ヶ岳といったアルプスの山々が、中央部には小笠山があります。市の面積約265.69平方キロメートルのうち、森林は約113平方キロメートル(約42.5%)で、そのうちの少なくとも6割はスギやヒノキなどによる人工林です。
掛川市内の人工林はほとんどが樹齢が40年を超えており、いつでも木材として利用できる状態まで成熟しています。森林のある土地の所有者は小規模な者が多いですが、近年は高齢化や後継者不足、資金不足など、様々な理由で彼らが単独で森林を維持・管理していくのが難しい状況になりつつあります。掛川市では地域活性化策の一つとして林業の振興や木材の需要拡大にも取り組んでおり、2012(平成24)年には「公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針」を策定し、公共建築物などにおいて法令で求められている耐震性や耐火性を損なわない範囲で市内産もしくは県内産の木材の利用を促進する方針を打ち出しています。
また、民間の所有者の中には資金を出し合って森林協同組合を組織し、共同で組合員が所有する土地の森林を管理していく取り組みを行うケースも出てきています。この森林協同組合では近年特に間伐に力を入れており、間引きされた木は品質のチェックを経て掛川市内の製材所や木材市場、静岡県内の大型木材加工場などに販売されます。
そんな掛川市の木材市場の現況について述べると、市内には木材の製造・加工・販売を行っている業者が複数存在しており、多くが森林が多く分布している市の北部に拠点を構えています。各業者は住宅用の木材から加工品までさまざまな製品を取り扱っており、その中にはしずおか優良木材として認証を受けた上質な木材を販売している業者も何社か存在します。業者の主要な取引先は静岡県内の工務店や住宅メーカーですが、中には県外の建設業者や大手ゼネコンを取引先に持つ業者もいます。

 

トップへ戻る