浜松市における木材市場の現況(令和2年 2020)

 

浜松市の木材市場の現況は厳しいものとなっています。
浜松市は平成17年の合併によって土地の7割が森林が占めるという、日本でもトップクラスに自然の豊かな街として知られています。
中でも天竜川の流域にある森林地帯は天竜美林という名前で親しまれ、日本三大人口美林の1つとして知られているほどです。
こうしてみると浜松市の木材市場の展望は開けているかのように感じますが、日本全土で進行している少子高齢化と、それに伴う人手不足の影響は、この街においても例外ではありません。
さらに近年では外国から安い木材が輸入されることによる、国内の材木価格の低迷がこれに追い打ちをかけています。
木材の需要自体も平成7年ごろをピークに低下しているのも大きな要因です。
その結果として近年では長年にわたって先祖代々の林業を営んできた人たちが、これ以上続けても採算がとれないし子供に仕事を継がせるのもかわいそうだと、廃業し始めているのです。
具体的な数字としては昭和45年の段階では静岡県内の林業従事者は4917人でしたが、現在では500人以下となっています。
製材工場も最盛期の1200から今では1/6ほどしかありません。
残念ながら浜松市の木材市場は全盛期から大幅に衰退しつつあります。

 

とはいえ明るい材料がまったくないという訳ではありません。
浜松市の行政は木材の街である浜松の林業を守るために、森林認証制度を導入するなどして積極的な活動を展開しています。
法律によって高い防火性が要求されていない、低層の公共建築物に対して積極的に市内の木材を使用するというのも、数ある活動の1つです。
これらの活動は少子高齢化による人手不足や、外国からの安い輸入木材の台頭による国内の材木価格の低下といった要素を完璧に打ち消すものではありませんが、それでもしっかりとした行政のフォローがある分だけ、相対的には浜松市の木材市場の未来は厳しくも明るいものになる可能性が期待できます。

 

 
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