笠置町における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

笠置町の木材市場の現況は生産及び消費ともに落ち込んでいる状況です。現在非常に過疎化が進んでいる状況にあり、2019年には京都府内の自治体で初めて高齢化率が50%を超え限界自治体の指定を受けることとなっており、従来は盛んであった林業が衰退の傾向にあるためです。今後もこの傾向は続くとみられており、従来の木材の産地から自然を効果的に利用した観光地へと変貌しつつあるのが特徴となっています。
笠置町の木材生産の歴史は古く、かつては奈良東大寺の造営に際し、山林から木材を切り出しで出荷したと言う記録が残っているほか、その他にも様々な木材の供給の記録が残っているのが特徴です。しかし、高度成長の終焉とともに日本全体の木材の需要が減少したことや、元来交通の便が悪く都心との交流が非常に難しい立地であったことから徐々に過疎化が進んだこともあり、木材生産の担い手が減少している状態です。そのため現在は高齢化が進んでいることもあり、また後継者がいないことから出荷量が激減していることをはじめ、人口そのものが減少していることから町内での木材の需要も落ち込んでおり、木材市場の現況は決して芳しいものではありませんでした。
京都府の中でも自然が豊かな地域となっており、これまではその自然の豊かさが障壁となって過疎化が進んでしまった傾向があるのですが、1932年に指定された町内の笠置山とその山麓の木津川一帯の史跡名勝地の影響があり観光地として有名で、観光客が多く訪れる地域であることが近年特に注目されています。その中には後醍醐天皇の行宮遺跡や十三重石塔など歴史上重要な意味を持つものも含まれており、多くの歴史研究家も訪れる場所となっている点がポイントです。また近年の歴史ブームの影響もあり観光客は非常に増え続けており、その影響で様々なお土産品などの加工にも木材が利用される傾向が強くなっているのが実態です。そのため笠置町の木材市場の現況はこれまでの生産から需要に変化している傾向があり、従来ほど芳しいものでは無いものの、徐々に需要が増えているのも特徴です。

 

 
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