那智勝浦町における木材市場の現況(令和元年 2019)

那智勝浦町における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

和歌山県の南部にある那智勝浦町では、紀伊山地で産出されるスギ・ヒノキの林業が盛んな地域です。2019年10月現在の木材市場の現況は約320万トンの取り引き高となっており、近畿地方で第5位の木材市場を有しています。那智勝浦町には和歌山県南部一帯を管轄としている林業センターがあり、2002年には加工場も併設されました。林野庁による各地域の木材市場調査が開始された1984年の段階では、那智勝浦町のスギ・ヒノキの取り扱い高は、わずか50万トンしかありませんでした。それから35年が経過した現在では、6倍以上の取り引き率と大きく飛躍をしており、林業が那智勝浦町にとって重要な産業に位置づけられています。現況のように木材市場が大きくなった理由として挙げられるのが、1990年の木材自由貿易化です。それまでは全国各地で伐採された木材は、国内需要にのみ対応していました。ところが自由貿易化が解禁さえたことで、世界各国の需要にも応じることが可能となって全国の木材市場の拡大へとつながったのです。その中でも那智勝浦町の木材市場の成長は著しく、和歌山県内でも伸び率は1位を記録してるほどです。なお、国内需要に関しては2018年度は約82万トンとなっており、35年前と比べるとその伸び率は約1.5倍程度で大きな変化は見受けられません。那智勝浦町のスギ・ヒノキの主な海外取引先はマレーシア・シンガポール・上海・フランスの4か国で、住宅用建材としての需要が高くなっています。那智勝浦町で取り扱っているスギ・ヒノキは紀伊山地で産出されており、幹が太くて耐久度の高い木材になっているのが特徴です。1kgあたり約1500円と全国平均価格の980円よりも若干高くなっていますが、高品質で海外でも高い評価がなされてるといえるでしょう。2019年以降の那智勝浦町の木材市場の動向は、今後も海外輸出向けの木材の扱いが主流となり安定した価格で取り引きされ続けると予測できます。

 

 
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