すさみ町における木材市場の現況(令和元年 2019)

すさみ町における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

すさみ町は、和歌山県にある紀伊半島のほぼ南端にある太平洋に面した町です。町域の90%以上を山林が占めており、平地が少ないことと漁港に適したリアス式海岸があることが特徴です。量が盛んな地域で枯木灘と呼ばれている海岸は釣り人たちに大変人気があり、観光事業の一環として釣り大会を盛んに行っており、多くの参加者や見物客でにぎわいます。枯木灘海岸は、貴重な地層や暖地性植物群落などが存在し、吉野熊野国立公園の指定も受けている地域です。
年間の平均気温が約17度と黒潮がもたらす温暖な気候の中で、農業と漁業とともに林業が町を支えています。町域の9割以上を占める山林では、スギやヒノキなどの林業が伝統的に行われており豊富な森林資源が活用されていました。戦後の高度経済成長期には国内全域で復興事業が行われており、木材の価格も高騰していたため、すさみ町でも林業は主力の産業のひとつで林業従事者もたくさんいました。昭和40年代までは町内に多数の製材所があり、活気に満ちていました。その後復興事業がひと段落し、輸入木材も多数入ってくるようになったため、木材市場全体で国内木材の価格は低迷するようになり、すさみ町の製材所も減少していったのです。最近では、すさみ町の林業は停滞している現況であり、林業に携わる人の数も減少の一途をたどっています。
すさみ町では、国の施策に従い、林業に関わる多くの取り組みを実践しているところです。林道の整備や森林の維持管理、林業機械導入補助制度などを積極的に行い、林業の振興を後押ししています。すさみ町をはじめ和歌山県は、質の良いスギやヒノキなどの名産地であり、ブランド力もある地域です。林業の担い手を積極亭に育成し、定着させることができれば、今後の木材市場における需要は安定してくるものと見られています。後継者育成を軸としながら、作業の効率化や業務環境の整備、森林の維持管理システムの構築などを行うことが期待される地域です。

 

 
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