美浜町における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

和歌山県の中部にある日高郡の西端にある美浜町は、紀伊水道に面しており面積は和歌山県内で太地町に次いで狭い町です。農業及び漁業、商工業が主な産業であり、林業はあまり行われてきませんでした。木材市場においても、美浜町の木材はほとんど流通していないのが現況となっています。農業では水稲や野菜が中心で、特に煙樹ヶ浜の松堆肥を利用したキュウリやトマトがブランド化に成功し、キュウリの生産量は関西有数です。漁業ではシラスや伊勢エビ、アワビなどの高級食材を多く収穫しており、商工業では木材加工や繊維業が盛んです。
和歌山県は、肥沃な土地と恵まれた水系、天候の良さと森林が健全に育成する環境が整っており、自然林と人工林共に大変豊かな地域です。紀州材はブランド化されて流通量が多く、近畿圏はもちろんですが中部や関東など多くの地域で大変人気があります。美浜町は農業と漁業が盛んな狭い地域なので、林業自体は盛んには行われてきませんでしたが、美浜町の奥にある地域では林業が盛んであり、下流に位置する美浜町にも多くの木材が原木丸太として輸送されてきていたため製材業が盛んな地域となっています。
美浜町にある三尾地区では、アメリカやカナダへ移民した人が多く、カナダでは日系移民社会の一大勢力となった歴史があります。カナダで漁業や林業に従事した移民の多くが郷里への送金を行い、三尾地区が潤ったとも言われています。出稼ぎや長期生活を終えて帰国した移民の人々は、カナダの生活様式を持ち帰り、和歌山県産の木材をふんだんに使ったロッジ風の住宅を建てる人もおり、三尾地区はアメリカ村として知られるようになり、木材を使用したログハウスなどの普及にも一役買っています。和歌山県産の木材は大変質が良く、美浜町で製材された木材は木材市場で流通量を増加させることができる可能性があり、人材育成や高性能の製材機械の導入、IT化などが期待される地域のひとつです。

 

 
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