有田川町における木材市場の現況(令和元年 2019)

有田川町における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

有田川町は、和歌山県のほぼ中央の有田群にある町です。有田みかんや山椒などの生産が有名で、特にみかんは有田市をしのぐほどの収穫量がある日本でも有数の名産地として知られています。町内には5か所以上の選果場があり、みかん以外にもハッサクなどの柑橘類を栽培している農業が盛んな地域です。柑橘類を利用したはちみつも特産品で、養蜂農家が多い地域でもあります。
有田川町の町名の由来ともなっている有田川は、大変清らかな流れでアユなどの川魚漁も盛んです。きれいな水と肥沃な土壌、みかんの生育にも良い恵まれた天候などの条件が重なり、大変優れた木材を生み出す林業地とも位置付けられています。和歌山県は、紀の國と称される地域で、木の国と言われることがあるほど上質な木材を多量に生産することができる地域となっています。天然林と人工林のどちらも多く、最高級のスギやヒノキの産地として木材市場では高値での取引もある現況です。
紀州材は、木目が美しいことが特徴で、あたたかく柔らかな質感、粘り強く丈夫な木質と大変優れた木材で、和歌山県内はもちろんですが、広い地域からの需要が高くなっています。地域の公共施設や一般住宅だけでなく、人口密集地の住宅や建築物でも使われており、美しく質が良い有田川町の木材は、仕上げ材として床や壁、柱などに使用するために求める業者が多く需要は高いです。近年は、丈夫で経年劣化が少ない新素材を用いた住宅が人気ですが、内装材はあたたかみがあり美しい木材の人気が再燃しています。新築の住宅や施設などの建物だけでなく、リフォーム材として活用されることも多くなってきているため、有田川町の木材の需要も高まることが見込まれていますが、林業に携わる従事者の減少や高齢化が進んでいる地域でもあるため、需要に対して供給できない事態になることも予想されている現況です。若い世代の担い手を育成し、森を育て、管理することから製材や商品化、販売まで一貫して行うことができるような体制作りをすることが課題となっています。

 

 
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