紀美野町における木材市場の現況(令和元年 2019)

紀美野町における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

紀美野町は、和歌山県中部の海草郡にある街です。海に面しておらず、内陸部にある町で、主要産業は家庭日用品であるたわしやほうきとなっており、昔ながらの製法を守る職人が多く、特産品となっています。農産品としては描きが有名で富有柿などが栽培されているほか稲作やミカン栽培、山椒やクレソン、ユズなどの生産も盛んです。
和歌山県は、県土の7割以上を森林が占めており民有林が森林面積の95%と高い割合になっています。民有林面積の約6割が人工林であり、利用可能な森林資源が多い地域です。古くから紀州木の国と呼ばれており、優れた木材を生産している林業地として位置づけられてきました。古くから林業が盛んで住宅はもちろんですが寺社仏閣などにも地元産の木材が使われてきた歴史があり、紀州材は地元はもちろん関西圏でも強度や色合い、見た目の美しさなど高く評価されてきた歴史があります。
戦後の復興期には、住宅や公共施設、商業施設などの建設が大規模に行われ、建築物の材料や足場用の木材の需要が大変高く、品質が良い紀州材は原木丸太はもちろんのこと間伐材の需要も高く、価格も高騰していましたが、その後木材価格は低迷し林業で生計を立てることが難しい林業従事者も多くなってきました。現在でも木材価格は低迷を続けていますが、もともと質の良い木材を産出している和歌山県の紀州材はブランド力を付けてきたことが奏をなし、高級木材として木材市場での需要が高まってきている現況です。紀美野町でも自治体が国の施策に対応し、届け出制度や補助制度などに積極的に取り組んでいます。森林の維持管理を行い、健全な森の育成に取り組んでいますが、林業に従事する人の高齢化や離職が相次いでおり後継者不足となっています。紀美野町は、日用品の生産や農業が盛んな地域ですが、環境の保全のためにも林業の担い手を育成することが今後の課題となっており、紀美野町が率先して森林の維持管理に当たる必要がある地域です。

 

 
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