新宮市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

和歌山県は、県土の77%が森林という豊富な資源に恵まれており、中でも南部地域は「紀州・木の国」と呼ばれるほど良質な木材が切り出されていました。新宮市は、熊野三山の一つ「熊野速玉神社」の門前町で有名です。熊野川の舟運を利用した木材の集積地で栄えた街です。現在の紀州材の定義としては、和歌山県内の森林で生産され、和歌山県内で製材されたもの及び木材加工品です。紀州材は、色合いが良く素直な木で狂いがないと言われる良質材です。優れた強度があり建材に適しています。引っ張りの強さは、鉄の4倍に及ぶと言われておりヒノキやスギは建材のみならず船舶など材料としても重宝されていました。新宮市には、原木市場があり、熊野で生産されたスギ・ヒノキなどの原木の集約場所です。

 

木材価格は、昭和55年をピークにして、その後下降が続いているのが木材市場の現況です。昭和62年から平成2年までは旺盛な住宅建設に支えられ、ヒノキ材を中心に新宮の木材市場でも価格の上昇がみられました。その後景気の落ち込みで住宅着工戸数は大幅に減少しており国産丸太の市場は低迷を続けています。特にヒノキの原木価格は、1本1万5千円前後と好景気の頃に比べて4分の1価格で切り出すコストを考えても採算がとれない状況です。和歌山県は、市場の活性化を目指して具体的な施策を定めています。公共施設の木材利用の促進や大消費地への販路の拡大と木材利用技術の開発を提言しています。新宮市は、積出し施設が充実しており製材後の木材を運び出す場所として適しているのです。海外輸出も増加傾向にあり、国内の需要である建材としてより木材の強度を重視した利用が多くなっています。造船で使われたり、加工用の木材での需要もあります。木材製材の技術を有している強みを生かすことはできます。熊野材は新宮市場で取引後、勝浦港から東京の晴海埠頭に運ばれることで海外市場に流れていきます。原木での取引より今後は加工した材木の需要が多くなってくると思われ世界に広げていくことも可能です。

 

 
トップへ戻る