田辺市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

田辺市は、全国的にみても森林が豊富に存在する地域であり、全地域の約8割から9割が森林になっています。元々、和歌山県は紀州材という非常に品質の良い木材を提供することに定評がある地域であり、これは田辺市にも共通しています。この地域で産出される木材は、色つやが良くて素直な木が多く、実際に加工をしていくときに良質な建築資材にできるとあって全国的にも認知度が高いものです。何よりも、紀州材は耐久性に優れているメリットがあるため、長期的に使い続けることができます。耐久性に関連する分野では、データ上も他の地域で産出される木材よりも遥かに高い強度を誇っていることがわかっています。
ただ、木材市場に流入させるための伐採がスムーズに進んでいないという現況も存在しますので、輸入材に依存せずに田辺市内に存在している森林を有効活用することが当面の課題です。これは、田辺市に存在している森林の所有の多くが民有林に属しているからに他なりません。田辺市の全体の森林面積は約9万haなのですが、このうちの約8万ha以上が民有林となっています。国有林はわずか7千haから8千haであり、市有林は2千haから3千ha程度です。このことが影響して、自由に伐採をして木材を確保することができず、そのまま荒廃してしまう良質な材木も多く存在します。これらの無駄になっている良質な木材が、一般の木材市場に出てくればさらに田辺市の木材市場の環境は良くなります。
自治体もこの点を理解しているため、田辺市の森林環境や木材市場を活性化させるための様々な取り組みを行っています。これは、森林経営管理制度と呼ばれています。例えば、森林に公益的機能を持たせるために洪水や土砂崩れを防ぐための有効手段として森林や木材が利用されます。環境保全などを考慮して二酸化炭素の排出量を減らすための取り組みも自治体規模で行っていますので、将来的にも森林環境が良化して木材市場に良い影響を与える可能性は存在します。

 

 
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