橋本市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

和歌山県の北部に位置する橋本市は、高野山の麓にある市です。ここでは江戸時代より林業が盛んな地域で、和歌山県内でもっとも多い木材の取り引き高を誇っているのが特徴です。2019年の橋本市の木材市場の現況は約620万トンを記録しており、1984年に林野庁が全国各地域の木材市場調査をおこなった中では、最大数量になっています。主な取り扱い品目は杉・樫・桧の3品目で、杉に至っては450万トンと全体の60%を占めるほどです。橋本市には和歌山県立林業センターがあり、ここで競りをおこなって取り引きがなされます。2014年には加工場も新たに設けて、市場で取り扱う材木を丸太から角材・合板へと加工をして出荷されています。そのため、杉・樫・桧の1kgあたりの価格が全国平均価格よりも高くなっている傾向です。この加工が成されていると、海外輸出をする際は各港で税関チェックを受ける必要がなく、木材市場で競り落としたらすぐに現地へと送り出せるというメリットがあります。橋本市の2019年の取り引き総量のうち、約70%の440万トンが海外輸出量であり、中国・ベトナム・シンガポール・トルコが取り引き国となっています。これらの国では住宅建材として杉・桧を利用するほか、船舶を製造するのにも日本産の木材を使っています。橋本市では年間を通して温暖な気候という特徴から、杉・桧・樫の成長が早く高品質な木になる傾向があります。美しい木目でもあり、高級住宅用の建材として海外では高い評価を得られています。なお、国内需要に関しては、ピークだった1996年から少しずつ取引数が減少しており、2019年では約80万トンと過去最低の数値になりました。2019年以降の橋本市の木材市場動向は、今後も海外輸出に主軸を置いた取り引きがなされると見受けられます。さらに、林業という橋本市の経済活動の基盤を維持するためにも、新たな取り引き国を見つけ出す動きも考えられます。

 

 
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