川上村における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

奈良県南東部にある川上村は、西部の大峰山脈と東部の台高山脈に挟まれており、吉野川の源流にあたる自然が豊かな村です。総面積はおよそ270平方キロメートルで総人口は1300人ですが、そのうちの約260平方キロメートルが森林であることから、木材産業は村の基幹産業となっています。川上村は全国的に知られている「吉野林業」の発祥の地で、最高級の建築材として知られる吉野杉・吉野桧の生産地です。およそ500年前の室町時代には既に植林が始められており、天正年間に豊臣秀吉が吉野地方を領有して、大阪城や伏見城を始めとした各地の城やその他の建築に盛んに利用したことから一躍吉野杉の知名度が高くなり、村民の生活は林業に支えられるようになりました。木材需要の増加に伴い産地の森林資源は減少しましたが、元禄年間には商業資本の貸し付けを通じて植林が活発となり、木材市場の技術の発達や伐採路の改良などにより造林可能区域が拡大していきました。明治初期に木材の価格が高騰した際に高樹林はやや減少したものの植林は確実に進められて杉と桧の人工林は拡大し、昭和40年代になると吉野杉はブランド木材として広く認知されるようになり現在に至ります。川上村で生産される吉野杉は、かつては丸太1本3000万円という銘木も出荷された記録がありましたが、現在では一般材に近づき標準的なサイズなら1本10万円前後で取引され、加工材は12センチ角の2メートル角材で5000円前後、板厚5センチ幅20センチ長さ2メートルの板材で20000円が相場です。加工された木材は県内を始め全国各地に搬出されており、建築資材はもちろん家具やカトラリーなどに加工され広く国内に流通されています。また、平成27年には村内の4つの木材市場が連携して「吉野かわかみ社中」を設立し吉野杉の生産から販売までの供給一貫体制の確立を推進するなど、川上村の木材市場の現況は大変活発となっています。

 

 
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