十津川村における木材市場の現況(令和元年 2019)

十津川村は、奈良県の最南端に位置する村で、紀伊半島の内陸にあります。森林資源に恵まれており、急峻な山と寄り添いながら暮らしてきた歴史がある村です。山とともに暮らしてきたことに加え、紀伊半島大水害を経験し、山を守ることを掲げ森林再生に取り組んでいます。伐採と植林を繰り返す持続可能な林業をモットーとしており、山づくりから製材、加工、販売までを一貫して行い質の良い木材を生産していることが特徴です。
十津川村は、豊富な森林資源を有していますが、秘境と呼ばれる険しい山奥にあるため山から木を伐採し、運搬するのは簡単ではありません。大型トラックや銃器が安全に走行することができる基幹作業道の研究や整備、機械化の推進などに取り組んでおり、作業の効率化や生産性の向上、安全確保などを図っています。また十津川村の山から伐採された木材を、提携している近畿圏の工務店に直接販売する産地直送の取り組みも推進しています。豊かな森林資源に恵まれているからできる産地直送の直接販売の取り組みより、質の良い木材を適正価格で利用することができると好評です。木材市場においても十津川村の木材は、高品質で美しいことから大変需要が高くなっている現況です。近畿圏の建築物はもちろん、他地域からも注目されており需要があります。
また十津川村では、十津川村の豊富な資源であるスギとヒノキを材料にした家具も生産しています。家具デザイナーによるシンプルで美しいフォルムは大変人気があり、村内産の木材を利用していることから今後も注目される産業に発展する可能性があります。住宅用では、基礎材はもちろんですが、高級スギやヒノキを柱や壁材にすることが流行しており、リフォーム資材としても人気となっています。公共施設や商業施設の壁材としても使われており、デザイン性が高くぬくもりを感じることができると好評です。需要の高い十津川村の木材をさらに流通させるためには、後継者の育成が急務となっています。