黒滝村における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

奈良県の中部に位置する黒滝村は、古くから林業が盛んな地域となっています。2019年10月の黒滝村の木材市場の現況は、スギ・ヒノキの産出が約500万トンとなっており国内で第4位の産出量を誇っている地域です。なお、2位〜3位は奈良県の天川村・十津川村・吉野町が占めているので、奈良県全体が国内の木材市場において重要な位置付けであるといえます。1984年に林野庁が全国各地域の木材市場の動向調査を開始しましたが、その当時は黒滝村では、約140万トンしかスギ・ヒノキの取り引きがおこなわれていませんでした。1990年に木材の自由貿易化がスタートすると一気に取引高が跳ね上がり、1991年には約240万トンに増加しました。主な海外輸出先は上海、マレーシア・フランス・スウェーデンとなっており現在もこれらの国へ年間300万トンを輸出しています。なお、国内需要は1995年の約290万トンをピークにして年々減少傾向にあり、2018年は約140万トンともっとも低い取引高となりました。国内の需要が減少してる理由として挙げられることは、住居建材の主流が木材から鉄筋へと変わっていることが起因しています。昨今は大型台風の上陸や地震が全国各地で相次いでおり、より耐久性に長けた住居建材が好まれるようになりました。木材の需要が国内で減ってはいるものの、黒滝村で取り扱っているスギ・ヒノキは美しい木目と幹が太い木材という特徴があることから、現在も神社仏閣や伝統文化財の補修等に使用されるための取り引きは盛んにおこなわれています。全国的に木材市場は縮小気味ですが、黒滝村に至っては今後も年間約400万〜500万トンの取り引きは維持されていくことでしょう。2019年以降の黒滝村の木材市場の動向は、海外輸出をメインとした取り引きが主流となり、国内市場向けは縮小されると予測できます。現況の取引高をキープしつつ、新たな海外市場の開拓をおこなうとより一層の経済収益が見込まれることでしょう。

 

 
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