葛城市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

奈良県葛城市は大阪府との県境にある市で、古くから林業が盛んな地域です。2019年の木材市場の現況は、約240万トンの取り引き高となっています。この取り引き高の内訳は約60万トンが国内向けの需要で、残りが海外輸出用です。林野庁による各地域の木材市場調査が毎年実施されるようになったの1984年からで、その当時の葛城市の木材取り引き数や約150万トンでした。数量のみに着目すると、現在の方が約1.5倍の取引高となっており市場規模が大きくなったと見受けられます。しかし、内訳数を見ると国内向け数量が約120万トンであることから、葛城市では国内用の木材の取り扱いが大半を占めていた地域であったとわかります。主な取り扱い木材は杉・樫・桧の3種類で、奈良県東部地域の山林で伐採された木が葛城市にある林業センターに併設された木材市場に集められ、セリに掛けられます。奈良県の杉・樫・桧は幹が太く、真っ直ぐな美しい木目をしていることから住宅用建材以外にも、調度品へと加工されるのが特徴です。木材市場の規模は小さいですが杉に至っては、全国平均価格の1kg約820円よりも2倍の価格となる約1600円で取り引きされています。1kg単位の取引価格が高いことから、海外の需要が少ないと受け止めることもできますが、それでも2019年の海外輸出量は約180万トンにのぼっているので、全国の木材市場の中では大きな海外需要に恵まれている地域といえるでしょう。葛城市の国内需要では、隣接している大阪府がもっとも多い年間60万トンの材木を葛城市より購入しています。そのため、大阪府富田林市内には木材団地と呼ばれる工業地帯があり、ここで角材や合板に加工されて住宅建材へと姿を変えています。2019年以降の葛城市の木材市場の動向は、今後も市場の中心となるのは国内需要となっていくことでしょう。今も尚、杉・樫・桧は高い需要があるので、安定した取引価格が維持される見通しです。

 

 
トップへ戻る