生駒市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

奈良県にある生駒市には県立林業センターがあり、2010年には木材市場も併設されました。奈良県の東部と隣接する大阪府の河内地域で伐採された木材を取り扱っており、2019年の木材市場の現況は、3月〜9月の半年間で約340万トンの取り引き高となっています。奈良県は江戸時代より林業が盛んな地域で、杉・桧・樫・欅の計4品目を取り扱っているのが特徴です。林野庁による全国47都道府県の木材市場調査が開始された1984年では、奈良県は約550万トンの取り引き高で全国1位を記録したほどです。さらに1990年の木材自由貿易化の波に乗って、ピーク時の1994年〜96年には年間約790万トンの杉と桧を海外輸出していました。ところが2000年以降は少しずつ木材の出荷数が減少してゆき、国内需要に至っては2018年は約120万トンになっています。これは国内では度重なる自然災害の影響から、木造建築よりもより耐久性に長けている鉄筋建築の需要が高まったこと起因しているといえます。生駒市が現在国内向けに出荷している杉・桧は主に神社仏閣の建設に用いられるものと限定しているのが特徴です。奈良県産の木材は大きな幹が特徴で、真っ直ぐに伸びた美しい木目という高級な品種なのが多く、神社仏閣の建材に好まれてます。そのため、1kgあたりの取り引き価格は約1600円と高いのが特徴です。現況では国内需要よりも海外輸出量の方が約2.5倍の数量で多く、特にアラブ首長国連邦とシンガポール2か国向けの輸出量が半数を占めています。この国々では2010年頃から木造建築が人気を集めており、積極的に日本から木材輸入をして建材として利用しています。今後もこの2か国が生駒市の木材市場の要となることでしょう。2019年以降の生駒市の木材市場の動向は、安定した木材収益を見込むための新たな取り引き先の開拓がなされると予測できます。アジアだけでなく、欧州各国に向けた木材市場のアピールを生駒市と奈良県が共同でおこなうでしょう。

 

 
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