大和高田市における木材市場の現況(令和元年 2019)

大和高田市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

奈良県の大和高田市は中西部に位置しており、人口密度が県内でトップとなっている市です。産業面では繊維品の工業が盛んな地域でもあり、パンストの生産量が全国一位という特徴があります。しかし近年は中国を始めとした海外からの格安輸入品に押され、産業の危機という現況があるとされます。
海外輸入品が経済に及ぼす影響は林業においても同様で、木材市場という観点でも注目せざるを得ません。しかし奈良県には「吉野杉」という高名な国産材ブランドがあり、杉の木材の中でも高級品として知られています。奈良県の60%を占めている吉野郡で林業が行われ、植林の歴史をさかのぼってみると、1500年前後の足利末期の時代の記録が残っている程となっています。吉野林業は経営維持が難しいというのが課題でもありますが、地元の資本家などが一丸となって守り続けているという経営も特徴です。
しかし課題として残されている部分も多いのが2019年の現況で、輸入木材などの影響もあり木材価格の低下などが挙げられます。また産地間の競争によって引き起こされる、流通構造の変化という部分も指摘されており、県内の材木店などの協力が必要となっています。
大和高田市にはかつては大規模な原木市場もありましたし、現在も市内に木材商がいくつかではありますが存在しています。これらの木材店が既存の流通ルートとして今まで以上に機能する事が、大和高田市における木材市場の活性化となると予想されます。また近年の住宅建築方式の変貌といった要因も、木材市場に打撃を与えていると言われていますので、伐採から最終消費までを見据えたマーケットの構築も必要となるでしょう。
こういった奈良県の吉野杉の厳しい現状を打開するためには、原産地が主導となった改革が求められているのです。奈良県という林業の地域で、それぞれの街が吉野林業に賛同しながら、販売促進や吉野材に親しめる場所を工夫していく事が大事とされているのです。

 

 
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