奈良市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

奈良市は奈良県の県庁所在地で、県内でも有数の中核都市となっています。古都と呼ばれるように古くからの歴史があり、京都と並んで観光の街としても人気があります。
この奈良市の2019年の木材市場の現況としては、どのような特徴があるのでしょうか。経済の市場規模としてはそれ程大きな地域ではありませんが、市内の南部には大手ハウスメーカーが所在している事もあり、木材市場的に見ても活況が見られます。家づくりで重要な部分を占めるのが木材で、外観や内装など幅広い用途で建材が活用されます。大手ハウスメーカーが木材の流通を動かし、奈良市の会社を拠点として地域周辺への市場を活性化させている事も予想されます。
そして観光地という側面からの奈良市を見てみますと、年間の観光客が約1400万人という規模を誇っています。しかし修学旅行などの観光は多いのですが、大多数が日帰りでの観光となっているため、ホテルや旅館の稼働率が低い事が指摘されています。ホテルなどの宿泊客が増加すると、修繕費や改築費用も捻出しやすくなりますので、建物に必要となる木材取引が増加する事が期待できます。一層木材市場を充実させるには、宿泊を伴う観光客の取り込みという点が大事となってくるでしょう。
また奈良市には古くから伝わる伝統工芸が多く存在する事も特徴です。その中には奈良が発祥の地とされている「奈良筆」が代表的で、木材を使用する物が多数ある事が見受けられます。例えば「木製灯籠」は吉野杉を加工して作り上げる伝統品で、「くろたき水組木工品」という工芸品は天然木目のケヤキを使い、漆で仕上げる物です。このように木材を使用した伝統工芸品が多数ありますので、この市場は伝統的に安定して守っていく事が求められます。こういった伝統工芸品の文化を継続させながら、ホテルの宿泊数を伸ばすような経済面での取り組みが、今後の奈良市の木材市場の成長の鍵を握っていると言えるでしょう。

 

 
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