甲賀市における木材市場の現況(令和元年 2019)

 

甲賀市は滋賀県の南部にある市で常緑低木のアセビや落葉性高木の栗、落葉広葉樹のミズナラなど天然林と針葉樹に恵まれた標高1238メートルの雨乞岳があり、古来から林業で栄えてきました。比較的湿度が低く日較差や年較差が大きい内陸性気候なことも樹木の生長に良く、加工しやすい内装材の建材になる樹が育つのに適しているからです。?鈴鹿山脈を中心に山岳信仰が存在したことから、登山愛好家にとっては聖地のひとつとして登山客が絶えないなど、甲賀市では山や樹とともに文化や経済が育ってきました。?現在の甲賀市の主力産業は日本六古窯のひとつに数えられる信楽焼の窯業、同じ茶葉で二煎目もおいしく飲める土山茶や、日本五大銘茶の一つに数えられる朝宮茶を中心とした茶葉生産ですが植林も盛んです。?特に固くて腐りにくい栗は建材に、ミズナラはフローリングや階段などの内装材に、木材の他にも雨乞岳に自生する石楠花やアセビなどは盆栽の素材として需要が高く、林業は甲賀市の経済を支える重要な事業となっています。?甲賀市の木材市場は入札式のみならずセリ売り方式など、多様な取引を取り入れていることから大変活発です。
?滋賀県では平成24年から公共建築物には、地元の滋賀県産木材を利用することを方針としており甲賀市では更に天井や床、壁や窓枠等の室内に面する部分、及び外壁等の屋外に面する部分に市の木材を使用しています。?市内や県内での自己消費に加え、現況の木材出荷先に兵庫県や京都府や奈良県、三重県や和歌山などの近畿の各府県に加え、愛知県や岐阜県など中部圏の有力企業があるので木材市場の需要は年々増加中です。?2019年には令和元年の文字を彫った木製のコースターやはんこ、桶やまな板などの改元グッズの特需が、近年の木材市場で最も高い経済効果を生み出しました。?令和元年だけの特需と思っていた木製コースターですが、コップの水分の浸透率の良さが知れわたったことから改元ブームが過ぎても注文が衰えておらず、木材市場を支えるニューフェイスとして期待されています。

 

 
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